1Q84 - 金融翻訳者からみると

今日、書店に行くと村上春樹さんの「1Q84」が店頭に積まれてありました。発売当初は予約でしか手に入らないと言われていた本ですが、やっと書店で買えるようになってきたようですね。この本は、発売までその内容が一切明かされないという効果もあって話題になったようですが、そのタイトルの意味は私の周囲でも度々話題に上りました。ただ、私たち金融翻訳者から言うと、「1Q84」といえば、即「1984年第1四半期」と解釈してしまう。つまり「1Q」は「1st quarter(第1四半期)」で「84」は「1984」の略というわけです。もし「1Q」が「1H」であれば「上期、上半期(1st half)」ですし、「84」が「FY84」であれば「1984年度(Fiscal Year 1984」とう意味になります。

このように金融翻訳にはすごく略号が多い。金融翻訳の初心者が最初に戸惑うことは、その略号の多さではないでしょうか?もちろん英語自体、言葉の頭文字で略号を作ることをよくする言語なので、ニュースでもよく報道される略号、例えばFRB(Federal Reserve Board「連邦準備制度理事会」)とか、FOMC(Federal Open Market Committee「連邦公開市場委員会」)などは金融翻訳者でなくとも分かっている人が多いと思いますが、このようによく目にする略号以外にほんとうに数多くの略号が使われています。

例を挙げますと、
capex = capital expenditure 「設備投資」
SME = small & medium enterprize 「中小企業」
LTM = long-term 「長期」
QME = quantitative manetary easing 「量的金融緩和」…
など、限りありません。

この略号を覚えるのも金融翻訳者の重要な仕事。金融翻訳の仕事を始めた方はどうか略号に戸惑わないで、頑張ってひとつひとつ丁寧に覚えていってください。ある程度なれてくると、初めて出会う略号でも文脈などから大体何の略なのか推察できるようにもなりますよ。